
マシュー・ダレック 著/座本勝之 訳
ヘンリー・アダムス賞〈2017年〉受賞作品
真珠湾攻撃の約7ヵ月前の1941年5月、フランクリン・ルーズベルト大統領は、国土安全保障省の前身となる市民防衛局を設立し、ニューヨーク市長のフィオレロ・ラガーディアを局長、ファーストレディーのエレノアを副局長に据えた。これは、外国の攻撃から国民の生命と財産を守るために政府が設けた、20世紀初の連邦機関であった。本書は、迫りくるファシズムの脅威に対し、無防備だった1930年代後半の米国が、どのように備え、対処したのかを詳細に記録し、考察するものである。
フランクリン・ルーズベルト政権におけるファーストレディーのエレノア・ルーズベルトは、人種差別撤廃や人権擁護の活動に力を尽くした。1942年2月19日に発令された日系人強制収容の大統領令に同調することなく、自ら日系人収容所を慰問している。第二次大戦後、エレノア・ルーズベルトは国連人権委員会の初代委員長を務め、彼女がリベラルアメリカの象徴と呼ばれる所以になった。